Hiroaki Isobe
研究のみならず、多岐に渡り学際的プロジェクトを展開する宇宙物理学者。
黒点、プロミネンス、太陽フレアなど、太陽のさまざまな活動現象の研究を行う一方、宇宙に関する人文社会科学の開拓や、宇宙と芸術、伝統文化とのコラボレーションを手掛けており、お寺で科学と宗教について語る会や宇宙落語会などを開催。最近では古文献中の太陽黒点やオーロラの記録を用いて過去の太陽活動を探る研究や、人類滅亡リスクについての研究プロジェクトにも携わる。
京都大学で博士取得後、東京大学や英国・ケンブリッジ大学で研究員をつとめた。
Kenji Matsuura
シロアリを対象に昆虫の社会生態と進化のメカニズムを研究する昆虫学者。
シロアリの女王位は単為生殖により継承されていることを世界で初めて明らかにしたほか、シロアリの卵に擬態する菌類の発見、卵認識フェロモンの同定、共生バクテリア組成が関与した巣仲間認識メカニズムの解明など、シロアリの社会生態に関する未解明の問題を世界に先駆けて次々と解明してきた。著書に「シロアリ—女王様、その手がありましたか!」(岩波書店)がある。京都大学総合博物館の「虫を知りつくす」展の実行委員長を務め、生きたシロアリを展示するなど含め、昆虫学の最前線を紹介した。
Masaharu Motokawa
アジアの小動物の種多様性について研究する動物学者。ミャンマー、ベトナム、中国、台湾、韓国などアジア各地でフィールド調査と標本収集などを通して、種が形成されてから現在までの数百万年間にたどった歴史の復元を行っている。
学士・修士・博士を京都大学で取得した後、同大学総合博物館の教員としてのキャリアを始めた。過去には英国自然史博物館やタイ・チュラロンコン大学の訪問研究員としても研究を展開した。現在は総合博物館教授として教鞭をとる傍ら、総合博物館に収蔵されている無数の動物標本も管理している。日本哺乳類学会の学術誌編集幹事及び理事も務めている。
Miho Ishii
憑依・呪術・儀礼をはじめとする人々の宗教実践を中心に研究する人類学者。
北海道大学在学中、フィールドワークを求めて人類学の道に進んだ。京都大学の修士課程では、タンザニアで勃興している「ラスタファリ運動」と呼ばれる宗教運動と、この運動にかかわる都市出稼ぎ民の生活について調査を行った。また博士過程では、ガーナのココア開拓移民の村に住み込み、精霊祭祀・妖術・呪術と民族間の関係について調査を行った。現在はフィールドを南インドに移し、憑依をともなう神霊祭祀と大規模開発の相互影響に関する調査研究に取り組んでいる。
著書に『精霊たちのフロンティア—ガーナ南部の開拓移民社会における<超常現象>の民族誌』、共著書に『宗教の人類学』などがある。
Misuzu Asari
「ごみ」が研究テーマで、ごみから見た社会や暮らしのあり方を提案する。家庭から出る有害なごみなどを対象に、物質フローや消費者行動のモデル化を行う。大学の環境管理も研究し、京都大学で全員参加型のエコキャンパス化を目指している。
研究活動の傍ら、ライフワークとして市民への啓発・教育活動にも力を注いでいる。京都大学在学中に「京大ゴミ部」を立ち上げ、「京都ごみ祭」を開催。2005年からは、京都議定書達成に向けた「びっくり!エコ100選」を高島屋で開催し、驚きのエコな話題を100個集めて来店客へ公開した。国や地方自治体の各種委員も務める。
Mohamed Abdelhack
京都大学べジプロジェクトの学生代表。TEDトークで見た講演などがきっかけで環境問題への配慮からベジタリアンに転向した。学生食堂などに働きかけ、ベジタリアンや世界の他地域の食文化を取り込んだメニューの促進に努め、取り組みがNHKにも取材された。
エジプト出身で、現在は京都大学情報学研究科の博士課程に在学中。沖縄科学技術大学院大学へ進学するとともに来日した。ベジタリアニズムや環境保全の他、人道支援や教育支援などにも意欲があり、エジプト・ロシア・トルコ・沖縄など世界各地の教育プログラムに携わった。
Takao Doi
1985年に日本人初の宇宙飛行士として選ばれ、1997年、日本人で初めて船外活動を行った。2008年3月には日本実験棟「きぼう」を初めて国際宇宙ステーション(ISS)に取り付け、日本が開発した最初の有人宇宙施設に乗り込んだ発の日本人となった。2004年6月 ライス大学大学院博士課程修了(天文物理学)。2009年9月からはオーストリア・ウィーンにある国連宇宙部の宇宙応用課長として、宇宙をより広く世界の人々に利用してもらうための活動に奔走した。
2016年度より京都大学宇宙総合学研究ユニット特定教授に就任し、人が宇宙に行くことの意義を考察する学問を立ち上げている。